特別企画インタビュー 1

株式会社ソフィア通商 代表取締役 小原義之

全米ブライダルコンサルタント協会(ABC協会)
アジア&オセアニア統括代表も務める小原氏。
小原氏に最新のウエディングドレスのトレンドや傾向流行などを語って頂きました。
写真提供/(株)ソフィア通商

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全米ブライダルコンサルタント協会(ABC協会)は、ブライダル業界で活躍する方々のためのプロの組織として国際的に最も権威があり、かつ最大規模の団体です。半世紀以上の長い歴史を誇り、アメリカのコネチカット州に本部があります。

世界的にウエディングというものは、新郎・新婦とその家族たちにとって、かけがえのない思い出となる大切なもの。挙式や披露宴を行う際には、さまざまな慣習・伝統に基づくだけでなく、近年、多彩なアイデアを生かした演出を盛り込み、よりオリジナリティあふれるウエディングを実現する方々が増えています。しかし、カップルの多くはこういった知識の数々を十分には持っていないため、適切なアドバイスを行うプロの存在が必要なのです。そのため、同協会では、「プロフェッショナルの証明」としての資格認定を実施。世界約50カ国において、ブライダルプランナーやブライダル関連業種(フラワー、衣裳、メイク、司会、海外挙式、フォトなど)の方々、そしてホテル・式場などの婚礼施設の法人会員が加盟しています。

ABC協会は、資格を認定するだけにとどまらず、資格認定協会員のプロフェッショナリズムの向上と、マーケットの発展を目的として、さまざまな活動を展開してきました。2002年からは現在、アジア&オセアニア統括代表を務める小原義之氏がその任務の命を受け、日本においても資格認定と協会活動をスタートさせました。

今や日本に約1000名、世界中には7000名を超える資格認定協会員がいますが、その中で名誉協会員の称号を得た人物は、現在3名しかいません。そのうち2名は、アメリカで絶大なる人気を誇るウエディング&イベントデザイナーのColin Cowie氏と、ディズニーの専属ブライダルプランナー&デザイナーでもあるDavidTutera氏。そして、残る1名は、日本が誇るブライダルファッションデザイナーの桂由美さんです。52年以上にわたって日本ブライダル界を牽引すると共に、世界へ向けて日本の美を発信し続ける桂さん。その功績と業界への貢献を称え、2010年、アジアからは初となる名誉協会員の称号が桂さんに授与されました。

今回は、最新のブライダルドレス事情について小原氏に語って頂きました。

Romona-Keveza

Romona Keveza


ボートネックの、モダンなドレスに拍手喝采!

2018年5月に行われた英国王室ヘンリー王子とメーガン・マークルさんの挙式で披露されたウエディングドレスは、ジバンシィのオートクチュールデザイン。ビーズやレースなどの装飾が一切ないシンプルなボートネックの七分袖で、すっきりしたウエストライン、ソフトで丸みのあるトレインがあり、トリプルシルク(三重になったシルク)オーガンジーのアンダースカートがついていました。この後、彼女の着た洗練されたドレスは「メーガン効果」として次シーズンのブライダルトレンドの筆頭に。実は、別の背景からもこうしたデザインがトレンドとなっていました。それはミニマリズムをていました。それはミニマリズムを実践するミニマリスト用ドレスとしてのトレンドです。装飾が一切なく、真っ白なデザインはまさにミニマリスト向けデザインと言えます。

左:GAL VAN SPOSA 右:LIVNE White

左:GAL VAN SPOSA 右:LIVNE White

同じく披露宴でメーガンさんが直用した英国人デザイナーのステラ・マッカートニーによるビスポークのホルターネックのドレス。ここのところトレンドとしては脚光を浴びていなく、メディアでも登場することが少なかったデザインですが、一転ホルターネックラインは今年のトレンド入りとなりました。また、オールドハリウッドの魅力が再び脚光を浴びるなか、当時を代表する直線美を活かしたアールデコ調のデザインも注目です。直線美を活かしたデザインが特徴のひとつ。ハイロウヘムライン(前裾が短くトレーンに掛けて徐々にスカート丈が伸びるデザイン)に加え、胸元の直線を活かしたプリーツなどにアールデコのトレンドが表現されています。

左:Pronovias 右:Caroline Costigliano

左:Pronovias 右:Caroline Costigliano


ファッション業界からの影響がより鮮明に。

世界のセレブやハリウッド女優などレッドカーペットで披露されるデザインがウエディングドレスのトレンドにも大きく影響しています。エミー賞のレッドカーペットでは米国の女優トレイシー・エリス・ロスがヴァンレンティノのドレスで登場しました。色鮮やかなピンクに加え、身頃を覆い隠すほどの大柄なスリーブが腕から垂れ下がったデザインは今、大胆なスリーブを表現するトレンドのきっかけともなり、多くのウエディングドレスデザイナーにも取り入れられています。

映画「アリー/スター誕生」のプレミア試写会に現れたレディ・ガガはエリザベスカラーを彷彿とさせるファッションで登場。今年はシフォンやチュール、オーガンジーなどで作ったラフ(ひだ襟)の人気が見られます。これはルネサンスのトレンドとも言われます。他にも、裾広がりのパコダスリーブに、膨らんだスカートを強調するドラマティックなデザインも人気となってきていますが、こちらもやはりルネサンス時代に愛されたデザイントレンドとも重なると言われています。一方、独特なトレンドも現れています。スリーブ全体をパフスリーブでアレンジしたバブルスリーブ。このように独特的なスリーブ演出がひとつのキーワードとも言えます。その意味ではこうしたセレブに人気のデザインやファッション業界の動向は今後目が離せませんね。

左:Livne White 右:Elisabetta Polignano

左:Livne White 右:Elisabetta Polignano

Romona Keveza

Romona Keveza

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